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災害鍼灸マッサージプロジェクトの目的

詳細は以下の記事をごらんください。
http://890iwanuma.blog.so-net.ne.jp/2011-04-26-00

活動終了に関して

災プロでは、2011年12月6日をもちまして被災地へのボランティアの派遣を終了いたしました。多くのみなさまのご支援、ご協力、誠にありがとうございました。

あはき師ではなく一般ボランティア [参加者からの感想]

塩竈市・南三陸町活動
後方支援室 橘川まゆみ

 私は4月に塩竈市で活動、そして6月からは南三陸町での治療活動に参加させていただきました。
 あはき師の連れ合いと一緒に現地へ向かい、現地では主に事務や治療活動の助手を担当しております。そして現在も、現地活動へ参加される方々の連絡や後方支援での事務処理などをお手伝いさせていただいています。
 私は、医療従事者ではなく一般のボランティアです。このプロジェクトに参加する中では珍しく医療従事者ではないのですが、過去にボランティア経験もあることから、一般ボランティアとして出来ることがあればお手伝いしたいと思い、活動に参加させていただきました。
 当然、臨床経験や医療の知識に欠けておりますが、せっかくの機会なのでこれまでの活動のご報告をさせていただきたく、乱文ではございますが綴らせていただきます。

問診300人を越えて
 現地での治療活動の際は、主に問診、血圧測定、その他にお話を伺ったり、施術・設営の準備などを手伝っています。
 まず、問診は治療を受けてくださる方に、「一番気になるところ、つらいところや痛いところはどこですか。」と、問いかけから始まり、だいたい10分間ほどお話を伺い、その都度、誰でもが見て分かるよう、その内容をカルテへ記入します。
 気分が高揚し饒舌な方から、話すものしんどそうにしている方まで、様々な方とお話しさせていただいています。最も気をつけていること、目を見て話を聞くこと、相手の起伏に合わせ寄り添う言葉を返すこと、不安にさせるような言動と表情は慎むこと、です。
 私は前職において培った経験を生かし、真摯かつ懸命な姿勢で取り組むことが相手に伝わると信じて、今日まで現地での活動を継続しています。
 そして7月になった頃、問診させていただいた方がのべ300人を越えました。

治療を受ける方々
 被災された方々は、初対面のボランティアに対し、震災の経験を話すことほとんどありません。肩が痛い、足がつらいなどと話し、問診が進むにつれて、少しづつ身の上話や震災の頃の話をされる方が多く、あまり悲しんだり落ち込む様子をされる方はありませんが、我慢したり頑張っていますとお話しされて、問診の僅かな時間にふと肩の力を抜く方がほとんどでした。
 特に職員の方々は、残業されているその貴重な時間を利用して、我々の活動時間である
夕方から来て下さっていますので、気分転換や休息時間として、気を楽にして頂けるような雰囲気作りに努めていました。時にはその場にいる皆さんで大笑いするような賑やかな日もありました。
 治療までの待ち時間では、一緒にストレッチをしたり、お互いの衣食住の生活の話をしたりと、たわいのない世間話をして過ごしていました。

 南三陸町では、他の活動場所と様子が異なるようで、震災の時の出来事は誰もがオープンに話をされていて、耳にする機会がとても多いと感じました。震災以降にやるようになったことへの気苦労や大変さを切々とお話しされる方もいますで、そのお気持ちに寄り添うよう、精いっぱい努めました。
 ある場所で治療活動へ伺った時には、5人ほどの方々が3.11志津川病院での出来事の話を始めました。私はPTSDの注意事項を聞いていたので、諸々気をつけてお話しを聞かせていただいていたのですが、次々と住民の方々が日常会話の様に話されて、最後まで震災の時のお話が尽きませんでした。私にとっては、それは大変でしたね、と終わらせることのできないような出来事ばかりで、この衝撃は胸を突き言葉を失いました。
 また、現地での活動滞在期間が長い私は、別の日に以前治療にこられた方と会う機会も多くなります。そしてお会いすると必ず声をかけてくださり、治療後の体の調子や鍼灸の感想を詳細に聞かせてくださる方がたくさんいました。
 少しでも元気になられて過ごされている方をお見かけできるのは、私自身が治療したわけではないのですが、とても嬉しく感じました。中には、別の方へ鍼灸の良さを紹介してくださったり、他の方を連れて来てくださったりと行動へ移して下さる方も多く、そのお気持ちに対し今でも感謝の念に絶えません。
 我々の活動は、治療を受けていただいた方々のこうした言動によって、成り立っているのだと強く感じています。

被災地で出逢った笑顔、そして苦悩
 携わった活動期間が長い為、いろんな方との関わり合いが自分の中に堆積していきます。ここでは4月から7月までの期間でお会いした方々を、一部ご紹介させていただきます。

 「毎日頭痛を感じて朝が始まるんです。」という方に会いました。冷え症で鍼灸には半信半疑な様子で、問診の時の表情は重苦しいような気だるそうにされて、首肩痛からくる頭痛に諦めているとお話ししてくださいました。
 震災後に前回マッサージの治療を受けた時は、寒い日だったこと、そして灯油がなかったために部屋がとても寒かったことなどから、やっても効果があるのかしらという不安な気持ちがあったそうです。
 そこで私は、体を温める治療が可能です、と施術者の治療内容を先にお伝えし、気持ちを楽にして待っていてもらうようお願いしました。
 そして、治療を終えて温灸と鍼で緩んだ体を実感していただいた時、「こんなに軽くなるものなんですね!」と、すっきりとした表情で明るく笑ってくださいました。その笑顔を見た時、自分の喜びとして感じとてもうれしく思いました。次の日の朝は頭痛がおきませんように、と心の中で願い見送りました。

 ある避難所へ活動に訪れた時の事です。
 居合わせた保健師さんのお声がけにもかかわらず、遠慮されたのか、誰も治療の申し出をしてくださらず、大きな部屋で寝泊まりして生活するその避難所の中は、しんと静まり返っていました。もしかしたらニーズもないのに押しかけてしまったのかもしれない、という不安がよぎりました。それならば、被災者の方たちにとって、本当に迷惑でしかありません。
 そこへ、「膝がね、痛いんだよ。」と周りの方々が見守る中、良くなるなら鍼をやってみたいと笑顔で近づいて下さる方がいました。両膝が痛くて歩行痛があそうです。この大部屋の避難所の中は、まさに、かたずをのんで見守るというような雰囲気になりましたが、是非診させていただきますということで、問診をして治療を始めました。私も施術者も時間をかけて丁寧にお話しを伺い、そして治療をしました。
 治療を終えて、その方にその痛いと感じていた動作や痛みの程度を確認してもらうと、にっこり笑って、軽減されて歩きやすくなったと喜んでくださいました。「鍼は痛くないんだね」と言って。それを見ていた周りの方々が、それなら自分もやってもらおうと次々に申し出てくださり、その方は周りの方たちへ、進んでお勧めしてくださいました。
 よくなりたいという気持ちが治療効果を倍増させ、また周りを包むような幸せが伝染するとは、まさにこのことだと感じ私も幸せに感じました。

 「先週から風邪を引いているから、もっとひどくするといやだから。」
そういって、避難所内で声をかけた私に、やめておくわと治療を断られた方がいました。わかりましたと言ってすっと離れたのですが、マスクをして時折痛そうな咳をされていて、大部屋の避難所の隅に体を寄せて辛そうにじっと座っていらっしゃいました。
 仕切りのない大部屋の避難所の中では、病気なんて出来ないという緊張感や後ろめたさが生じます。しかし、いくら気をつけていても症状は出る時は出ます。
 治療を希望される他の方々の問診をしながら、その方の様子を見ていた私は、どうしても気になっていたので、施術者に相談してその方に直接話しかけてもらいました。
 そして、「呼吸を楽にしましょうか。」と再度お声がけをし、問診と血圧を測定して治療を行うことになりました。
 施術者が手首と背中に治療をしたところ、呼吸がしやすくなったようで咳が収まりました。
 私としては、無理強いはよくないのでお気持ちが乗ればとお誘いしたのですが、その後はどうされているかと気になっています。
 私が治療活動を終えてその避難所を後にする時は、他の方々のところへ行き楽しそうにおしゃべりされているのを見かけました。本当に早く治るといいなと思いました。

 「あるボランティアの人に足の甲のつぼがいいよってぐいぐい押されてね。」と話して下さった方は、それから左膝から大腿部にかけて痛みが止まないと訴えていました。
 この方は、日頃から他の住民の方々の面倒を見ていらっしゃり、ボランティアが来れば食事や宿泊の世話までなさる、とても忙しく働きまわるようです。そのボランティアさんご自身につぼの知識があったのかなかったのかわかりません。おそらく親切心でつぼを押したのだろうとのことで、なぜか痛みが続くからさすがに辛い、ということで治療をしました。
 すると、やはり足の甲に違和感があったようでで、治療後には「なんだ、取れるんだね、痛みは。全然痛くなくなったわ。」とおっしゃいました。そして、何度も何度も痛かった足を労わるようにさすっていました。避難所を取りまとめしゃきしゃきと多忙に動き回っているこの方には、どうぞご無理をしないようにとお伝えしました。

 「津波が来るからと逃げた時は、この裏の崖の上まで登れっと言われて。」
 海からほど近いこの避難所は、急斜面な道を上がったその上にありました。震災直後から床での生活を強いられ、正座ができないと膝や足の痛みを訴えるご年配の方が本当に多いです。
 この方もその一人で、問診をする前は横を向いて寝てお待ちになっていました。足首から膝裏と鍼灸治療をしたところ、痛みは軽減し正座が出来るようになりました。問診時はもそもそと乗る気にならない気持ちを少しも隠さずに近づいてこられた方が、ぱっと晴れやかな表情でいろんなことをお話しして下さるようになりました。
 この方の治療が終わった時がちょうど午後3時だったので、皆さんのお茶っこにそのまま参加させていただき、ゆったりとした時間を共に過ごさせて頂きました。
 帰り際、その方がゴマのお菓子を持って行けと、そっと渡してくれたので丁重に笑顔でお忚えしました。その時の表情はうっすらと涙が浮かんでいたように見えたのを、私は忘れません。

 「痛くて5年はうつ伏せになってないのよ」という方の要望から、タオルや毛布で胸当てをするなどの補助をしてうつ伏せに挑戦してもらったところ、うつ伏せになることが出来ました。腰痛持ちなのに体重が一気に増えてしまい、痛みがあっていつも横向きでしか寝ていられなかったそうです。
我々の訪問というふとしたきっかけでしたが、うつ伏せが出来たことをご本人がとても喜んでくださり、「また来てね、待っているから。」と、別れ際にギュッと手を握り締めてくださいました。
 穏やかに話されるあったかい手をしたその方は、その後何度かお会いする機会があり、いつも人懐っこい笑顔で出迎えてくださいました。

 「強めの指圧が好みなの」と鍼灸が好きな方にお会いしました。お会いした瞬間から待っていたわと叫び、そして満面な笑みで駆け寄って来られて、私たちを驚かせてくれました。
 ある時まで、地元治療院へ通院されていましたが、子供がいるので時間を気にして行けずにいたそうです。震災後から子供が不安さから親元を離れられなくなっているのを理由に、遠方へ通院が出来ないと訴えていました。
 ボランティアセンターへマッサージの希望を自ら出したというこの方は、毎日がれきの撤去をする男性の方々の健康を、とても気遣っておられました。このことが一時期、私たちの活動が夜間の時間帯に行えるかどうか検討するきっかけになっていました。
 しかしながら、その避難所までの道のりには街灯が少なく、そして道路が数か所陥没しているような状況から、結果としては難しいとの判断を出せざるを得ませんでした。
 もし近くに宿泊出来るのであれば可能なのかもしれないですが、どんなボランティアでも、出来ることを、出来る範囲で行う、一時的な活動者なので、こういった安全面や健康面なども考慮して、今後は治療活動をしなくてはならないと考えました。

 そして当プロジェクトでの活動は、12月の完全撤収を残しあと僅かとなりました。
今日もまたたくさんの地元の方々のお気持ちに助けられながら、共に活動ができることを、深謝して。





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問合わせ先: 890iwanuma*yahoogroups.jp (*を@に置換え)

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